2012年07月06日

カテゴリー:コラム

【コラム】阿賀野川流域・地域再生の軌跡~その4「“急がば回れ”の地域づくり」

◆これまでの歩み2:平成20年度

fm-logo一眼レフカメラをいつの段階で買おうか迷っている事務局のYです。FM事業を振り返る短期集中連載コラムその4をお届けします。前回の記事に引き続き、今回もFM事業のこれまでの歩みを年度別に振り返って簡単に説明したいと思います。今回は平成20年度です★

平成20年度はまだ何をやって良いか分からず、どんな戦略のもとでどんな個別事業を進めるべきか、その討議に相当な時間がとられたのが実情でした。それでも、話し合いを進めるうちに様々な個別事業の形らしきものが見えてきて、年度後半にはそのうちのいくつかを実際に試行してみることができました。ユニークなのは、最初から新潟水俣病を取り上げず、なぜか草倉銅山という題材をモチーフに、様々な個別事業を展開し始めた点です。後半は、その理由について触れています。

◇平成20年度は個別事業が企画・試行された年

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    推進委員会(第1回)

FM事業を現地で実際に推進していく年度となることから、「実施検討会」を「推進委員会」へと名称変更したほか、個別事業を具体的に企画していくための体制も整えました。そして、度重なる検討を経て、上流地域でいくつかの事業を試行しました。

個別事業を企画・具体化するための体制づくり
平成19年度に検討した事業全体の理念や計画を基に、様々なアイデアを流域の現場で具体的に推進させていくため、平成20年10月、「阿賀野川流域地域フィールドミュージアム事業推進委員会」を開催し、多種多様な個別企画が提案されました。そこで、数多く提案された個別企画を「イベント」「環境学習」「情報発信」の3分野に分類して、各分野ごとに「プロジェクトチーム」(PT)を結成しました。以降、各PTにおいては、「もやい直し」の効果や実現可能性などの観点から、様々な個別事業を具体的にどう展開していくか、何度も会合を重ねつつ企画の検討や絞込みが進められ、いくつかの個別事業が実際に上流域で試行されました。

★平成20年度事業成果品

>>さらに詳しく:平成20年度FM事業の経緯・成果など〔PDF形式:740キロバイト〕

◇上流域で「草倉銅山」に着目した理由

「新潟水俣病問題に端を発した地域再生の事業なのに、なぜ“草倉銅山”を題材として取り扱うのか」
ちょうど平成20年から21年頃にかけて、皆さんから不思議がられ、よく尋ねられた質問です。この頃はそれくらい草倉銅山を扱う個別事業が多かったのですが、それには次のような理由がありました。

草倉銅山ー3

草倉銅山本局の川港と角神製錬所(明治後期、提供:柏崎市立図書館・小竹コレクション)

なぜ、上流域から「もやい直し」を始めたのか
水俣湾で大規模な公害が発生した熊本県とは異なり、新潟水俣病の舞台は阿賀野川であり、発生地域は南北に細長いことから、被害状況や新潟水俣病の捉え方などは各地域でかなり異なっています。特に、他の地域と比べて顕在的な被害者数が少なかった上流域では、原因企業の昭和電工㈱鹿瀬工場が立地していた関係上、新潟水俣病のことを話題に出しにくい雰囲気が根強く、過去に様々な取組が行われることもほとんどありませんでした。

そこで、FM事業では、これまで手付かずだった上流域から、あえて様々な事業に着手することにしました。なぜなら、最も困難だと思われる地域で「もやい直し」を展開できれば、他の地域での進展にも希望が持てると考えたからです。ただし、新潟水俣病を遠ざける意識が強い地域で、ほとんどの人がFM事業をご存知ない中、いきなり真正面から「もやい直し」に取り組んでみても、かえって警戒心を抱かれ、心を頑なにしてしまう恐れが大いにあります。

草倉銅山・過去

左から、坑夫の「山中取立手打式」(提供:長谷川国一氏)、草倉銅山本山事務所、草倉銅山分析所(提供:矢部和男氏)

草倉銅山は光と影を併せ持つ、魅力あふれる地域資源だった
そこで一見回り道ですが、まずは阿賀町鹿瀬の地域資源である「草倉銅山」を活用した事業を試行してみるというステップを踏むことにしました。そして、調べれば調べるほど判明したのですが、「草倉銅山」とは、地元の郷土史家などの間で根強い人気を誇る一方、実は日本の公害史にも隠れた因縁があるなど、「光と影」の両側面を併せ持った魅力溢れる地域資源だった訳です。

草倉銅山・現在

草倉銅山本山の写真(撮影:山口冬人氏)、左から、草倉銅山神社跡、建造物の礎石跡、坑道(側道)跡

このように、FM事業では、地元の人々がある程度共感しながらこの事業に参加・協力していただけるあり方を重視して、いきなり新潟水俣病から真正面に取り組むより、まずはこの地域資源に着目して様々な事業を展開したという経緯があります。こうした、いわば「ステップアップ戦略」を採用することで、新潟水俣病が発生して以来初めて、FM事業で上流域における地域再生を展開することができました。

草倉銅山・事業

左から、草倉談義、紙芝居「草倉銅山物語」、地域再発見講座(第1回)

次回は平成21年度の歩みをお送りします。
なお、草倉銅山とは何ぞや…とより深く知りたい方は、こちらの草倉銅山レポートからどうぞ!

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