第21回新潟水俣環境賞作文コンクール優秀賞受賞作品の全文を掲載します!


(写真提供:新潟水俣病共闘会議)
 
新潟水俣病被害者の会と阿賀野患者会は6月、小中学生を対象にした「第21回新潟水俣環境賞作文コンクール」の受賞作品が発表され、1名の方が優秀賞を受賞されました。同コンクールは、新潟水俣病被害者の「こんな苦しみは自分たちだけでたくさんだ。子や孫に同じ苦しみを味わわせてはならない」という切なる思いから、次代を担う子どもたちに身の回りの環境に関心をもってもらおうと、県内小・中学生を対象に毎年開催されています。作文テーマは「新潟水俣病」や「身の回りの環境問題」などで、今回は122点の応募がありました。なお、今回の優秀賞は下記のとおりです。
 

◆優秀賞を受賞された方と作品テーマ

  • 小学校5・6年生の部

 
優秀賞作文の全文は下記に掲載します!
 

小学校5・6年生の部

 

私達の未来は

長谷川美波さん(新発田市立外ケ輪小学校5年)

 私は「環境と人間のふれあい館」へ行くまでは、新潟水俣病に対して全く無知だった。語り部の立川小三郎さんの話を聞いてとてもショックを受けた。なぜかと言うと、遠い世界で起きた怖い事ではなく私の住んでいる新発田市からさほど遠くない所で起きた事実だと言う事だからだ。
 工場排水に含まれていた有機水銀が阿賀野川の流出し、そこに生息していた魚を大量に食した人達が発病したのだ。症状は、視野が狭くなる、手足の感覚が鈍くなる、歩行が上手く行かず生活に支障をきたす。もっと重い場合は死に至る恐ろしい病気だ。普通の人達が普通のごく当たり前の生活を奪われてしまったのだ。川へ流してはならない有機水銀をなぜ流してしまったのか。工場の身勝手な判断と行いに私は酷く腹がたち許せないと思った。こんなにも重い病気を患った上に家族の方々までもが酷い差別を受け続け、今でも苦しんでいる。私は、病気との闘いだけではなく「差別」という人間が起こす「負の感情」とも闘っているのだと思った。しかし、差別は私達一人一人の考え方、伝え方で排除できるのではないだろうか。人事ではなく、自分に起きている事として考えるべきなのだ。
 以前、先生から日本は戦後の高度経済成長とともに生活水準が上がったと教わった。家電、水道、ガス、電気。その他にも生活をする上でスイッチ一つで何でもできるという事だ。そんな便利で豊かな暮らしとは裏腹に、とても深刻な環境問題がたくさんある事を決して忘れず、解決していかなくてはならないと感じている。新潟水俣病が起きた水の問題は海に囲まれ、川がある新潟県にとっては大きな問題だ。特に農業、水産業が盛んで海からは、季節ごとにおいしい魚介類が豊富にとれる。そして秋になるとお米の収穫が始まる。私は、この新潟でとれた魚やお米や野菜や果物が本当に大好きだ。もし万が一、川や海に有害物質の含まれた汚水が流れ込み、魚や農作物が食べられなくなってしまったら……。だからこそ過去の過ちは絶対に二度とくり返してはならない。
 私はこの恵まれた環境の地、新発田市で生活をする事ができて心から感謝をしている。安心して暮らす事、食する事ができるありがたさを忘れてはならないと思っている。
 「安心して暮らせる生活」=「私達の未来」は自らが作り一人一人の努力の上で成り立っていると私は信じている。そして明日から私達ができる事はなにか。私はいつも自問自答して生きてゆこうと心に固く誓った。
 

 


 

第21回新潟水俣環境賞作文コンクール

  • 主催:新潟水俣病被害者の会、新潟水俣病阿賀野患者会
  • 後援: 新潟県・県教育委員会、新潟市・新潟市教育委員会、阿賀野市・阿賀野市教育委員会、五泉市・ 五泉市教育委員会、阿賀町・阿賀町教育委員会、長岡市・長岡市教育委員会、上越市・上越市 教育委員会、三条市・三条市教育委員会、柏崎市・柏崎市教育委員会、新発田市・新発田市教育委員会、小千谷市・小千谷市教育委員会、加茂市・加茂市教育委員会、十日町市・十日町市 教育委員会、見附市・見附市教育委員会、村上市・村上市教育委員会、燕市・燕市教育委員会、糸魚川市・糸魚川市教育委員会、妙高市・妙高市教育委員会、佐渡市・佐渡市教育委員会、魚沼市・魚沼市教育委員会、南魚沼市・南魚沼市教育委員会、胎内市・胎内市教育委員会、聖籠町・ 聖籠町教育委員会、弥彦村・弥彦村教育委員会、田上町・田上町教育委員会、出雲崎町・出雲崎町教育委員会、湯沢町・湯沢町教育委員会、津南町・津南町教育委員会、刈羽村・刈羽村教育委員会、関川村・関川村教育委員会、粟島浦村・粟島浦村教育委員会、新潟日報社、朝日新聞新潟総局、毎日新聞新潟支局、読売新聞新潟支局、産経新聞社新潟支局、NHK新潟放送局、BSN新潟放送、NST、TeNYテレビ新潟、UX新潟テ レビ21、エフエムラジオ新潟、FM PORT 79.0、FM KENTO、ラジオチャット・エフエ ム新津、柏崎コミュニティ放送、エフエムしばた、FMゆきぐに、燕三条エフエム放送、FM-J エフエム上越、エフエム角田山ぽかぽかラジオ、エフエムとおかまち

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