2012年07月13日

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【コラム】阿賀野川流域・地域再生の軌跡~その6「流域住民と地域再生との“接点”を探る」

◆これまでの歩み4:平成22年度

fm-logo仕事が多すぎて何から手をつけようか迷っている事務局のYです。FM事業を振り返る短期集中連載コラムその6をお届けします。前回の記事に引き続き、今回もFM事業のこれまでの歩みを年度別に振り返って簡単に説明したいと思います。今回は平成22年度です★

さて、今回のサブタイトルは「流域住民と地域再生との“接点”を探る」。前回の記事は、「ロバダン!」(炉端談義)と「資料整備」を通じて、FM事業と流域住民との距離を縮める内容でしたが、今回はその逆に、「私たちは日々の暮らしも大変なのに、FM事業に協力して何か意味はあるのか?」と流域住民から問われた経験を紹介しています。この思わぬ本音をきっかけとして、FM事業は流域住民との“接点”は何かを真剣に考え始めました。

◇新たな段階へ移行するための準備の年

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   フォーラム(第1回)の様子

FM事業の枠組みが完成した昨年度をもって、FM事業の方向性を検討してきた「推進委員会」は役割を終えたと判断され解散しました。そして、「もやい直し」の継続を目指して、FM事業の受け皿となるための団体の検討や設立準備が進められました。

「もやい直し」を振り返る初のフォーラム開催
推進委員会は解散しましたが、個別事業ごとに編成されたワーキングチーム(WT)は存続し、引き続き総合プロデューサーの統轄のもと、各WTが担当事業ごとに業務支援していく体制となりました。年度末には、「資料整備」と「ロバダン!」を通して、これまでのFM事業を「もやい直し」の観点から振り返る初のフォーラムを、WTのメンバーを中心としたこれまでの関係者や、教育・行政の関係者と共に開催しました。

★平成22年度事業成果品

  • 環境学習理念プログラムづくり
  • 環境学習パンフレット、流域環境団体カタログ制作
  • 鹿瀬地域フィールドワークの実施
  • ネル巡回展「鹿瀬・昭和電工・阿賀野川」開催
  • 地域再発見講座(第3~6回)「阿賀野川の忘れられた光と影」開催
  • 紙芝居「新潟水俣病との出会い」制作
  • 映像作品「ハーモニカ長屋から眺めた風景」制作
  • 阿賀野川え~とこだより第3号・第4号発行
  • 阿賀野川え~とこだ!ブログ運営・ホームページ制作
  • 鹿瀬工場タイムスの資料整備を実施
  • ロバダン!(炉端談義)17回実施
  • 阿賀野川え~とこだフォーラム第1回開催

>>さらに詳しく:平成22年度FM事業の推進体制・経緯・成果など〔PDF形式:680キロバイト〕

◇新たな段階に向けて ~「真の阿賀野川ブランド」と「環境学習」

FM事業も開始から数年が経過し、様々な個別事業が功を奏し始めた結果、「もやい直し」の成果が少しずつ表れ始めました。その好例が、企業城下町・鹿瀬と昭和電工㈱鹿瀬工場の歴史を光と影の視点から描き出したパネル巡回展を、上流域で開催できたことでした。

昭和電工パネル

このパネル巡回展「鹿瀬・昭和電工・阿賀野川~光と影を織りなしてきた歴史~」は、展示作品が新潟水俣病を真正面から取り扱っているにも関わらず、平成21年度を上回る阿賀町内の10旅館が展示会場として名乗りを上げてくれました。さらに、パネル巡回展が終了した後も、流域の人々からパネル展示作品の貸出依頼が増えるなど、まだ緒に就いたばかりですが「もやい直し」が着実に進展している手ごたえが感じられました。

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阿賀野市千唐仁の阿賀野川(撮影:山口冬人氏)

流域の人々とFM事業との、本当の接点とは?
一方で、流域の人々からは、自分たちとFM事業の接点をなかなか見出せないとのご意見もいただいてました。確かに、地域の経済も長く低迷し、日々の暮らしも大変な流域の人々にとって、FM事業との接点はなかなか見出しづらいはずです。
そんな中、「ロバダン!」などを通じてお話を伺った多くの方々が共通して、「疲弊した流域の現状を憂えていた」のが印象的でした。さらに、流域に溢れる「阿賀の宝もん」の数々も、現状では新潟水俣病が思い出されるから、いまだに「阿賀野川ブランド」を冠して堂々と誇れずにいると打ち明けられる方も、少なからずいらっしゃいました。

こうした部分が恐らく、流域に生きる人々とFM事業とに共通する接点や価値観となり、それをどう広げていくかが今後の両者の課題になってくると言えます。そこで、FM事業では、こうした流域住民のご意見や思いを踏まえて、流域が新潟水俣病に向き合い乗り越えた末に確立される「真の阿賀野川ブランド」という考え方こそ、流域の各地域が今後目指していくべき方向性として提案し始めました。

一般社団法人あがのがわ環境学舎ロゴ◇「もやい直し」の継続のために環境学習を
ここまで事業を進めてきたFM事業ですが、最大の問題点は今後も事業が永続する保証がないことです。「もやい直し」を中長期的に継続していくためには、それを担う受け皿となる団体が存在し、かつ、経済的自立を模索していくことが必要不可欠となります。そこで、平成23年2月に「一般社団法人あがのがわ環境学舎」が立ち上げられました。今後、この団体がコーディネートして全国の方々から阿賀野川流域を訪問してもらい、ここでしか体験できない環境学習の機会を流域の人々と連携・協働しながら提供していくことで、FM事業を持続可能にする仕組みを構築する際の基盤にしていきたいと考えています。

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阿賀野市千唐仁にある阿賀のお地蔵さんを、学生たちに案内する安田の大工・旗野秀人氏(左は虫地蔵、右が水俣地蔵)

次回は平成23年度の歩みをお送り…したいところですが、昨年度のことなのでまだまとめきれていません。そこで、次回からは視点を変えてFM事業の背景について紹介していきたいと思います!

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