「阿賀野川え~とこだ!プロジェクト」(FM事業)では、流域に関連する様々な資料を探し出したり、流域内外の人々から提供されるなど、これまで数多くの資料を収集してきました。
資料整備を進めるワーキングチームでは、こうして収集した膨大な資料を電子データ化して保存した後、資料ごとに個票を作成してデータベース管理するなど、地味な作業にコツコツと取り組んでいます。こうした日々の地道な努力なくして、パネル展示や映像作品などの制作、イベント開催や情報発信の各事業は成り立たず、資料整備はFM事業の推進に欠かせない「縁の下の力持ち」的な存在になっています。
資料整備の目的・手法、FM事業における位置づけ
資料の保存と活用のために…
阿賀野川流域に限らず、どの地域でも、その土地の歴史や文化を記録した貴重な文献や写真などが、古くからある各住居の土蔵や倉庫にまだ数多く眠っています。しかし、それらを公的機関などで収集・保存しておかないと、いざ活用しようとする段階になっても、家の建替えや当主の代替わりなどですでに廃棄されてしまっている事例が少なくありません。
そこで、地域再生を目指すFM事業では、「ロバダン!」などの機会を通じて、散逸しがちな流域関連の貴重な歴史資料の収集・保存に努めています。さらに、地域の歴史や文化を独自の観点から浮き彫りにすべく、収集・保存した資料群を様々な事業へ活用して、流域内外を問わず多くの人々の心をひきつけ共感を呼んでいます。
このため、FM事業の資料整備には「保存」と「活用」という2つの目的が存在し、その実現手段として「半永久的な保存が可能な方法=電子データ化」と「活用しやすい整理方法=個票&データベース化」が採用されました。
ロバダン!・資料整備・作品づくりの好循環
FM事業で特徴的なのは、こうして電子データ化され活用しやすく整理された膨大な資料が、「パネル作品」や「映像作品」などの多様な作品群に惜しみなく活かされることで、これらの作品群が流域内外の多くの人々の心をひきつけ、地域再生への共感を醸成してくれる点でしょう。
加えて、これらの作品群を「ロバダン!」などの場で流域の方々に披露・鑑賞していただくことで、流域の貴重な資料をますます貸していただけるような好循環が生まれている点も見逃せません。つまり、「作品づくり」・「資料整備」・「ロバダン!」の3事業は、左図のようにお互いなくてはならない関係にあると言えます。
>>さらに詳しく:「作品づくり」について / 「ロバダン!」(炉端談義)について
資料整備の流れ
まず資料整備の方法を検討するため、「新潟県立文書館」「新潟県立環境と人間のふれあい館」へのヒアリング、他県の図書館等への調査を実施しました。その結果、いずれの方法も一長一短があり、自分たちが使いやすい方法が良いとの結論になったことから、次の流れで資料整備を進めることとなりました。
STEP1:資料の収集
「昭和電工」や「草倉銅山」など流域に関連する資料について、所有者や所有団体を訪問し、「ロバダン!」などを通じて資料をご提供いただいております。
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STEP2:資料の保存
ご提供いただいた資料については、半永久的に保存が可能なように、すべて電子データ化され、ネット上の仮想倉庫の中に格納されます。
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STEP3:資料の整理
電子化された資料は、各資料ごとに個票が作成された後、分類に応じて整理・データベース化されるので、検索や活用が簡便になっています。
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STEP4:資料の活用
整理された資料は、パネル展示や映像作品などの作品制作、あるいは、イベント開催や環境学習プログラムの資料作成などに活用されます。
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収集した資料の紹介
FM事業では、貴重な資料を思いがけず発見したり、様々な人々からご提供いただくなど、日々、収集作業が行われています。ここでは、「昭和電工」や「草倉銅山」関連の貴重な資料の収集経緯について、その主な事例をご紹介します。
ケース1:阿賀野川流域関連資料
ケース2:草倉銅山関連資料
ケース3:「鹿瀬工場タイムス」
資料の保存方法
FM事業にて収集された資料は、半永久的な保存や復元可能性を重視して、ほぼすべて電子データ化による保存を行っています。資料は主に「写真」と「文献」の2タイプに分類されますが、各タイプごとに下記のとおり電子データ化しています。特に写真資料の保存に際しては、プロの写真家に依頼して、高細密に撮影したデータを、TIFF 形式及びJPEG 形式で画像データとして保存します。
資料のデータベース化
「写真」「文献」資料は、それぞれ過去と現在に分類されます。さらに、各個別資料ごとに個票を作成し、その資料の関連情報(成立年、説明、権利関係など)を整理することでデータベース管理ができるため、資料検索や作品への活用が容易になります。